新着記事

  • グループチャットにおいて、特定の部下の悪口で盛り上がることのハラスメント該当性
    on 2024年7月14日

    1.部下の悪口を言う上司 特定の部下の悪口を、同僚に吹聴して回るタイプの上司がいます。 比較的力のある上司だと、周囲が迎合するため、悪口を言われた人は、いじめに遭うなどの辛い思いをしがちです。 それでは、こうした行為はパワーハラスメントに該当しないのでしょうか? 以前、医療法人の代表者が、歯科衛生士らと特定の歯科医師の陰口をしていたことに不法行為該当性が認められた裁判例を紹介しました。 職場で行われる陰口が、労働者に対するハラスメント(不法行為)にあたるとされた例 - 弁護士 師子角允彬のブログ この種のハラスメントの相談を受けることは少なくないのですが、近時公刊された判例集に、これに類似する…

  • 事業場外みなし労働時間制の適用が認められた最高裁判例
    on 2024年7月13日

    1.事業場外みなし労働時間制 労働基準法38条の2第1項は、 「労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす。」 と規定しています。 この事業場外で働いた場合につき「労働時間を算定し難いとき」に一定時間労働したものと「みなす」仕組みを事業場外みなし労働時間制といいます。 旅行添乗員に対する事業場外…

  • 地方自治体は指定管理者に労働法令を遵守させる義務を負うか?
    on 2024年7月12日

    1.指定管理者制度 地方自治法244条の2第3項は、 「普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であつて当該普通地方公共団体が指定するもの(以下・・・『指定管理者』という。)に、当該公の施設の管理を行わせることができる。」 と規定しています。 これは、平たく言うと、 「公の施設をノウハウのある民間事業者等に管理してもらう制度」 のことです。 自治調査会 ニュース・レター vol.019 【2019年7月15日号】 | 公益財団法人 東京市町村自治調査会 https://www.tama-100.or.jp…

  • 不適切なガイドラインに従ってスズメバチに刺された労働者の損害賠償請求が認められた例
    on 2024年7月11日

    1.動物、虫による被害 外仕事をしていると、動物や虫による被害を受けることがあります。この場合、過失を要件としない労働者災害補償保険法上の保険給付を受けることは、それほど難しくはありません。 しかし、動物や虫による攻撃を免れるための知見は必ずしも確立されているわけではありません。また、事柄の性質上、明確に予見することも困難です。そのため、使用者に対し、過失が要件となる損害賠償請求をして行くには、それなりに高いハードルがあります。 こうした状況のもと、近時公刊された判例集に、スズメバチに刺された労働者が使用者に対して行った損害賠償請求が認められた裁判例が掲載されていました。東京地裁令5.10.1…

  • 生徒のいじめ自殺に関連し、適切な対応を怠ったこと等を理由とする教師への懲戒処分(停職1か月)が取り消された例
    on 2024年7月10日

    1.学校教師の労働問題 いじめにより児童生徒が自殺する事件は、マスコミによって大々的に報道されます。この報道は世論の怒りを喚起し、しばしば苛烈な犯人捜しが行われます。 ここで行われる犯人捜しには、いじめの加害者の特定だけではなく、いじめを認知・阻止できなかった教員に対しても行われます。教員に対する責任追及は、公立学校の場合、議会等で取り上げられることもあります。 事が大きくなってしまうと、行政当局にも「誰も処分しない訳には行かないのではないか」というプレッシャーがかかります。そうした背景のもと、教師に対して懲戒処分が行われることがあります。 しかし、いじめを発見したり、自殺を阻止したりすること…

  • 「人間関係からの切り離し」類型のハラスメントに不法行為該当性が認められた例
    on 2024年7月9日

    1.パワーハラスメントの類型 職場におけるパワーハラスメントとは、 職場において行われる ① 優越的な関係を背景とした言動であって、 ② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、 ③ 労働者の就業環境が害されるものであり、 ①から③までの要素を全て満たすものをいう と定義されています(令和2年厚生労働省告示第5号「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」参照)。 そして、パワーハラスメントには、 イ.身体的な攻撃、 ロ.精神的な攻撃、 ハ.人間関係からの切り離し、 ニ.過大な要求 ホ.過小な要求 へ.個の侵害 といった類…

  • 大学教授(医学部)の解雇係争中の他社就労-元々の賃金の3倍以上(月額180万円)の職を得ていても就労意思が否定されなかった例
    on 2024年7月8日

    1.違法無効な解雇後の賃金請求と就労意思(労務提供の意思) 解雇されても、それが裁判所で違法無効であると判断された場合、労働者は解雇時に遡って賃金の請求をすることができます。いわゆるバックペイの請求です。 バックペイの請求ができるのは、民法536条2項本文が、 「債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。」 と規定しているからです。 違法無効な解雇(債権者の責めに帰すべき事由)によって、労働者が労務提供義務を履行することができなくなったとき、使用者(労務の提供を受ける権利のある側)は賃金支払義務の履行を拒むことがで…

  • 懲戒解雇でなくても弁明の機会付与は必要?-能力不足を理由とする普通解雇の可否を判断するにあたり、手続的相当性(弁明の機会の欠如等)が問題視された例
    on 2024年7月7日

    1.普通解雇と懲戒解雇における手続の位置付けの違い 普通解雇と懲戒解雇とでは、解雇に至るまでの手続的相当性の持つ意味合いに差があります。 例えば、職務を行う能力や適格性を欠いていることを理由とする普通解雇の可否は、 「①使用者と労働者との労働契約上、その労働者に要求される職務の能力・勤務態度がどの程度のものか、②勤務成績、勤務態度の不良はどの程度か、③指導による改善の余地があるか、④他の労働者との取扱いに不均衡はないか等について、総合的に検討することになる」 と理解されています(佐々木宗啓ほか編著『類型別 労働関係訴訟の実務Ⅱ』〔青林書院、改訂版、令3〕395頁)。 文献引用部分を見れば分かる…

  • 専門職(医師)の能力不足解雇の可否を判断するにあたり、鑑定が用いられた例
    on 2024年7月6日

    1.専門職の能力不足解雇 職務を行う能力や適格性を欠いていることを理由とする解雇の可否は、 「①使用者と労働者との労働契約上、その労働者に要求される職務の能力・勤務態度がどの程度のものか、②勤務成績、勤務態度の不良はどの程度か、③指導による改善の余地があるか、④他の労働者との取扱いに不均衡はないか等について、総合的に検討することになる」 と理解されています(佐々木宗啓ほか編著『類型別 労働関係訴訟の実務Ⅱ』〔青林書院、改訂版、令3〕395頁)。 しかし、専門職の労働者の場合、仕事の内容が難解で、 勤務成績(能力)の不良がどの程度なのか、 が良く分からないことがあります。 近時公刊された判例集に…

  • 賞与にあたっての人事評価に不法行為該当性が認められ、基準額との差額が損害として把握された例
    on 2024年7月5日

    1.賞与の不当減額・不支給にどのように対抗するか 賞与は、 「(就業規則に)『会社の業績等を勘案して定める。』旨の定めがされているのみである場合には、賞与請求権は、労働契約上、金額が保障されているわけではなく、各時期の賞与ごとに、使用者が会社の業績等に基づき算定基準を決定して労働者に対する成績査定したとき、又は、労使で会社の業績等に基づき金額を合意したときに、初めて具体的な権利として発生する」 と解されています(佐々木宗啓ほか編著『類型別 労働関係訴訟の実務Ⅱ』〔青林書院、改訂版、令3〕44頁参照)。 そのため、賞与の不支給を法的に争うことは、決して容易ではありません。 例えば、解雇の効力を争…