新着記事

  • 2020年7月10日成人した精神障害者に対し、老親は監督義務を負うのか?
    1.家族による監督義務  認知症に罹患した夫Aが鉄道線路内に立ち入り列車と衝突して死亡した事故に関し、鉄道会社がAの妻や長男に対して監督義務の懈怠を主張して損害賠償を請求した事件があります。  この事件で、最高裁は、 「民法752条は、夫婦の同居、協力及び扶助の義務について規定しているが、これらは夫婦間において相互に相手方に対して負う義務であって、第三者との関係で夫婦の一方に何らかの作為義務を課す …
  • 2020年7月9日士業の就職は慎重に-ボスに連座して2000万円超の負債を背負った社会保険労務士
    1.士業法人における社員の無限責任  株式会社の場合、原則として、社員(株主)が会社の負債の返済を迫られることはありません。  しかし、士業の法人に関していうと、法人に連座して社員(構成員)が責任を負う形が基本とされています。  例えば、弁護士法30条の15第1項は、 「弁護士法人の財産をもつてその債務を完済することができないときは、各社員は、連帯してその弁済の責めに任ずる。」 と規定しています。 …
  • 2020年7月8日長時間労働とウイルス性疾患による死亡との間の相当因果関係
    1.対象疾患  業務による明らかな過重があったとしても、あらゆる病気が労災認定の対象とされているわけではありません。脳・血管疾患及び虚血性心疾患等に関して言うと、過重業務に起因する疾患は、行政通達上、 脳内出血(脳出血) くも膜下出血 脳梗塞 高血圧性脳症 心筋梗塞 狭心症 心停止(心臓性突然死を含む。) 解離性大動脈瘤 に限定されています(基発第1063号 平成13年12月12日 改正基発050 …
  • 2020年7月7日マタハラ-育休取得後の原職復帰の原則と原職の消滅
    1.育休取得後の原職復帰の原則  育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下「法」といいます)22条は、 「事業主は、育児休業申出及び介護休業申出並びに育児休業及び介護休業後における就業が円滑に行われるようにするため、育児休業又は介護休業をする労働者が雇用される事業所における労働者の配置その他の雇用管理、育児休業又は介護休業をしている労働者の職業能力の開発及び向上等に …
  • 2020年7月6日整理解雇の解雇回避措置としての配転・出向
    1.整理解雇の許容性の考慮要素  「整理解雇については、・・・裁判例の集積により、①人員削減の必要性、②解雇回避措置の相当性、③人選の合理性、④手続の相当性を中心にその有効性を検討するのが趨勢である」と理解されています(白石哲編著『労働関係訴訟の実務』〔商事法務、第2版、平30〕363頁)。  解雇回避措置の相当性に関しては、「ⓐ広告費・交通費・交際費等の経費削減、ⓑ役員報酬の削減等、ⓒ残業規制、 …
  • 2020年7月5日「理由は特にない」「説明はしません」「人事権に文句いうんじゃない。」-手続的な配慮を欠く配転命令の効力
    1.配転命令権行使の適法性の判断枠組み  労働者の配置の変更であって、職務内容または勤務場所が相当の長期間にわたって変更されるものを配転といいます(白石哲編著『労働関係訴訟の実務』〔商事法務、第2版、平30〕220頁参照)。  配転命令権の適法性の判断枠組みに関してリーディングケースとなっている最高裁判例(最二小判昭61.7.14労働判例477-6 東亜ペイント事件)は、 「使用者は業務上の必要に …
  • 2020年7月4日執筆に参加した書籍のご紹介Ⅱ
     7月2日、「Q&A 賃金トラブル 予防・対策の実務と書式」〔新日本法規、初版、令2〕という書籍が発行されました。 https://www.sn-hoki.co.jp/shop/item/5100133  本書は、主に企業の人事労務担当者や弁護士・社会保険労務士等の実務家を対象に、 「賃金に関して実務上生じやすいトラブルや最新の論点を取り上げ、予防や対応方法についてQ&A形式でわかりやすく解説する …
  • 2020年7月3日「訓戒」の効力を争うために公法上の確認訴訟は使えるか?
    1.懲戒と「訓戒」  公務員の懲戒の種類は法定されています。  例えば、国家公務員法は、免職、停職、減給、戒告の四種類の懲戒処分を規定しています(国家公務員法82条1項)。  しかし、こうした法定の処分以外にも、「訓戒」「訓告」といった名称の独自の措置がとられることがあります。 2.「訓戒」「訓告」などの争い方  懲戒処分の効力は、行政事件訴訟法3条2項に規定されている「取消訴訟」という手続で争い …
  • 2020年7月2日飲酒強要のパワハラへの該当性を立証することは労災の判断に影響するか?
    1.パワハラと労災  精神障害に業務起因性(労災)が認められるか否かの判断基準に、 「基発1226第1号 平成23年12月26日 改正 基発0529第1号 令和2年5月29日 心理的負荷による精神障害の認定基準について」 があります。  ここには、 「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」 ことが心理的負荷として掲げられています。 https://www.mhlw.go …
  • 2020年7月1日安全配慮義務違反による死亡事案の損害賠償請求権の消滅時効の起算点
    1.安全配慮義務と消滅時効  債権は、 「権利を行使することができる時から十年間行使しないとき」 には時効によって消滅するとされています(民法166条1項2号)。  この「権利を行使することができる時」とは、 「権利を行使するのに法律上の障害・・・がなくなった時である。権利者の一身上の都合で権利を行使できないことや、権利行使に事実上の障害があることは影響しない」 と理解されています(我妻榮ほか『我 …