新着記事

  • 人材紹介会社が提示した労働条件が変更されたかどうかは慎重に検討するべきであるとされた例
    on 2024年4月12日

    1.人材紹介会社(職業紹介事業者)が流す不正確な求人情報 人材紹介会社(職業紹介事業者)が出している求人情報を見て応募したところ、それとは異なる労働条件を使用者から提案されたとして、トラブルになる例は少なくありません。 ただ、法も、こうした不正確な求人情報を野放しにしているわけではありません。 職業紹介法5条の3は、次のとおり規定しています。 第五条の三 公共職業安定所、特定地方公共団体及び職業紹介事業者、労働者の募集を行う者及び募集受託者並びに労働者供給事業者は、それぞれ、職業紹介、労働者の募集又は労働者供給に当たり、求職者、募集に応じて労働者になろうとする者又は供給される労働者に対し、その…

  • 求人票上の「3~5時間分の残業手当を固定残業代として支給する」との記載では判別可能性がないとされた例
    on 2024年4月11日

    1.固定残業代の有効要件 最一小判令2.3.30労働判例1220-5 国際自動車(第二次上告審)事件は、固定残業代の有効要件について、 「通常の労働時間の賃金に当たる部分と同条の定める割増賃金に当たる部分とを判別することができることが必要である・・・。そして、使用者が、労働契約に基づく特定の手当を支払うことにより労働基準法37条の定める割増賃金を支払ったと主張している場合において、上記の判別をすることができるというためには、当該手当が時間外労働等に対する対価として支払われるものとされていることを要するところ、当該手当がそのような趣旨で支払われるものとされているか否かは、当該労働契約に係る契約書…

  • 労働者が10分単位又は15分単位で入力していた機械的正確性のない出勤簿に基づいて労働時間が認定された例
    on 2024年4月10日

    1.業務関連性は明白であるが、機械的正確性のない証拠 残業代を請求するにあたり、労働時間の立証手段となる証拠には、 機械的正確性があり、成立に使用者が関与していて業務関連性も明白な証拠 成立に使用者が関与していて業務関連性は明白であるが、機械的正確性のない証拠、 機械的正確性はあるが業務関連性が明白でない証拠、 機械的正確性がなく、業務関連性も明白でない証拠、 の四類型があります(佐々木宗啓ほか編著『類型別 労働関係訴訟の実務Ⅰ』〔青林書院、改訂版、令3〕169頁参照)。 使用者の指示のもと、従業員が始業時刻、終業時刻を自己申告的に記入していた勤務簿は、 成立に使用者が関与していて業務関連性は…

  • 在籍出向の規定を欠く会社との間では、出向することが記載されている雇用契約書の取り交わしに応じなくても問題ないとされた例
    on 2024年4月9日

    1.出向 最二小判平15.4.18労働判例847-14 新日本製鐵(日鐵運輸第2)事件は、労働者の同意を前提としない出向命令の可否について、 「(1)本件各出向命令は、被上告人が八幡製鐵所の構内輸送業務のうち鉄道輸送部門の一定の業務を協力会社である株式会社日鐵運輸(以下『日鐵運輸』という。)に業務委託することに伴い、委託される業務に従事していた上告人らにいわゆる在籍出向を命ずるものであること、(2)上告人らの入社時及び本件各出向命令発令時の被上告人の就業規則には、『会社は従業員に対し業務上の必要によって社外勤務をさせることがある。』という規定があること、(3)上告人らに適用される労働協約にも社…

  • 出向先や労働条件が不明確であるとして出向命令が無効とされた事例
    on 2024年4月8日

    1.出向を命ずることができる場合 労働契約法14条は、 「使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。」 と規定しています。 労働契約法制定前の事案ではありますが、最二小判平15.4.18労働判例847-14 新日本製鐵(日鐵運輸第2)事件は、労働者の同意を前提としない出向命令の可否について、 「(1)本件各出向命令は、被上告人が八幡製鐵所の構内輸送業務のうち鉄道輸送部門の一定の業務を協力会社である株式会社日鐵運輸(以下「日鐵運輸」という…

  • 「退職するとなったときにはそれらの費用(就労準備費用)を負担してもらいますが大丈夫ですか」⇒「大丈夫です」では、費用の返還義務は生じないとされた例
    on 2024年4月7日

    1.就労準備費用の返還請求 少子高齢化ほか様々な要因により、本邦では至るところで人手不足・人材不足が進行しています。人手不足・人材不足が深刻化すると、労働者の調達コストが上昇します。労働者の調達コストが上がると、採用にあたり、使用者から、 退職するなら、かかった費用を負担してもらう、 といった条件を提示され、退職時にトラブルになる事案が増えることになります。 こうしたトラブルに対処するため、先ず考えられるのは、労働基準法16条の活用です。 労働基準法16条は、 「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」 と規定しています。 使用者から請求…

  • 退職合意書の清算条項が労働者の有利に働いた事例
    on 2024年4月6日

    1.清算条項 退職の時、清算条項付きの合意書の取り交しを求められることがあります。 清算条項とは、 「甲と乙は、本合意書に定めるほか、甲と乙との間に、何ら債権債務のないことを、相互に確認する」 といった趣旨の条項です。 会社側が労働者に清算条項付きの合意書の取り交しを求める背景には、退職後の労働者から残業代を請求されたり、ハラスメントを理由とする損害賠償を請求されたりすることを防ぎたいという事情があります(こうした清算条項付きの合意を取り交わしたからといって直ちに残業代が請求できなくなるわけではありませんが)。 清算条項付きの合意書の取り交しを求められても、会社側からの求めである限り、それが労…

  • 労働者に対して行われる研修費用の本来的な負担者は誰なのか?
    on 2024年4月5日

    1.研修費用の取扱い 労働者に対して行われる研修には、二面性があります。 一つは、使用者が自分の業務を遂行するために行っているという面です。 もう一つは、労働者自身の職業能力の向上という面です。 前者の面を強調すれば、労働者に対して行われる研修費用は、使用者自身が負担すべき経費として位置付けられます。 後者の面を強調すれば、研修費用は職業能力の向上という恩恵を受ける労働者の側で負担すべき費用として理解されます。 研修費用の本来的な負担者について言うと、使用者から労働者に対して研修の受講命令が出されている場合には、使用者側になるのではないかと思われます。 問題は、研修の申込者が労働者である場合で…

  • 勤務時間が定められていなかったとしても元からであったとして、労働契約を合意解約して業務委託契約を締結したとの主張が排斥された例
    on 2024年4月4日

    1.労働者と業務受託者 労働者は労働基準法をはじめとする労働関係法令の保護を受けます。 これに対して、業務委託契約を交わして業務を遂行する個人事業主(フリーランス)は、労働関係法令の保護を受けることができません。昨年、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」というフリーランスの就業環境整備を目的に含む法律が成立しましたが(未施行)、労働者ほど強力な保護が与えられているわけではありません。 労働者が保護されるということは、裏を返すと、使用者が好き勝手できないということです。こうした不自由さを嫌い、一部使用者の間で、従業員との間の契約を、労働契約から業務委託契約へと切り替えようとする動き…

  • 会社が倒産状態にないのに従業員に対する賃金不払いに代表取締役の個人責任(損害賠償責任)が認められた例
    on 2024年4月3日

    1.賃金の不払と取締役の個人責任 会社法429条1項は、 「役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。」 と規定しています。 賃金を払ってもらえない労働者は、この規定を根拠として役員(取締役)に個人責任を追求することが考えられます。 ただ、会社法429条1項に基づく損害賠償として残業代を請求するにあたっては、幾つかの乗り越えなければならない壁があります。 一つは、損害の発生です。 会社から賃金を払ってもらえる限り、労働者に損害が発生することはありません。そのため、「損害」があったといえるためには、会社が倒産…