新着記事

  • 2021年9月15日謝罪・反省が欠けている労働者への懲戒解雇が否定された例
    1.改善可能性  解雇の可否を論じる場面で、しばしば改善可能性という概念が問題になります。この概念は、 改善可能性があるのに解雇することは不当だ/改善可能性がない以上解雇もやむを得ない といった使われ方をします。  改善可能性は、規律違反行為を理由とする普通解雇の可否を判断する場面において、かなり重要な要素を構成します。そのことは、佐々木宗啓ほか編著『類型別 労働関係訴訟の実務Ⅱ』〔青林書院、改訂 …
  • 2021年9月14日犯人かと問われて名乗り出なかったことを理由に懲戒解雇できるか?
    1.尋ねられて名乗り出ないリスク  犯罪の場合、犯人かと問われても、名乗り出る義務があるわけではありません。  例えば、刑事訴訟法198条2項は、被疑者に 「自己の意思に反して供述をする必要がない」 権利を認めています。  また、刑事訴訟法311条は、被告人に、 「終始沈黙し、又は個々の質問に対し、供述を拒むことができる」 権利を認めています。  更に進んで、自分は犯人ではないと嘘をついたとしても …
  • 2021年9月13日内部告発と懲戒処分の有効性-告発目的の公益性と「不正の目的でないこと」
    1.内部告発者の保護  公益通報者保護法は、公益通報を行ったことによる解雇を禁止しています(公益通報者保護法3条)。  しかし、マスコミ等の外部機関への通報が、解雇禁止の対象となる公益通報に該当するためには、 通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由があること、 不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的ではないこと(2条参照)、 のほか、次の …
  • 2021年9月12日公務員の懲戒処分-情報漏洩で懲戒免職された公務員について、退職手当も全額不支給とされた例
    1.退職手当支給制限処分  懲戒免職を受けて退職した国家公務員に対しては、退職手当の全部又は一部を支給しない処分をするこことが認められています(国家公務員退職手当法12条1項)  この条文の運用は、非違の発生を抑止するという制度目的に留意し、全部不支給が原則とされています(国家公務員退職手当法の運用方針 昭和60年4月30日 総人第261号 最終改正 令和元年9月5日閣人人第256号 参照)。   …
  • 2021年9月11日公務員の懲戒処分-弁明手続は重要な情状事実の発覚以前のもので足りるか?
    1.公務員の懲戒処分  国家公務員法にしても、地方公務員法にしても、懲戒処分を行うにあたっての手続を法定しているわけではありません。処分に際して処分事由を記載した説明書の交付が必要とされているだけです(国家公務員法89条1項、49条1項参照)。  しかし、事前に弁明の機会を付与することが不要かというと、そこまで割り切った考え方がされているわけではありません。  例えば、福岡高判平18.11.9労働 …
  • 2021年9月10日情報漏洩で懲戒免職になった例
    1.情報漏洩の処分量定  公務員の懲戒処分の効力を争う事件で、情報漏洩についての処分量定が問題になることは少なくありません。しかし、対象となる情報の性質や量、実際に外部への漏洩が生じたのかなどの事実関係が多岐に渡っているため、何を・どこまでやれば・どのような処分が下るのかは、必ずしも明確に予測できるわけではありません。  そのため、量定感覚を磨くには、公刊物で裁判例が公表されるたびに、その内容を精 …
  • 2021年9月9日定期昇給に関する労使慣行の成立が認められた例
    1.労使慣行の主張  長年に渡って維持されてきた労働者にとって好ましい事実状態が使用者から変更されそうになったとき、労使慣行が成立しているという反論を提示することがあります。  これは、 「法令中の公の秩序に関しない規定と異なる慣習がある場合において、法律行為の当事者がその慣習による意思を有しているものと認められるときは、その慣習に従う。」 と規定する民法92条を根拠にする主張です。一定の場合、慣 …
  • 2021年9月8日雇止め-労働契約法19条1号類型(期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できる類型)への該当性が認められた例
    1.雇止めについての法規制  有期労働契約において、契約期間満了に際し、使用者から次期の契約更新を拒絶することを「雇止め」といいます(第二東京弁護士会 労働問題検討委員会『2018年 労働事件ハンドブック』〔労働開発研究会、第1版、平30〕384頁参照)。  有期労働契約は、契約期間の満了により終了するのが原則です。この意味において、雇止めをすることは、基本的には使用者の自由です。  しかし、労働 …
  • 2021年9月7日事業譲渡に伴う労働条件の不利益変更に対抗するための法律構成
    1.事業譲渡と労働契約  一定の営業目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産(得意先関係等の経済的価値のある事実関係を含む)を譲渡することを、事業譲渡といいます。  ある会社が別の会社に対して事業譲渡をすることは、日常的に行われています。  それでは、その事業の中で働いている人の労働契約は、事業譲渡に伴って、どのような影響を受けるのでしょうか?  事業譲渡が行われていたとしても、自動的に …
  • 2021年9月7日指導改善研修期間の約半分を残して改善の見込みがないと意見を述べることが許されるのか?
    1.期間途中での見切り  公立学校の教員は、地方公務員ではあるものの、「教育公務員特例法」という特殊なルールが適用されます。  その中の一つに、「指導改善研修」という仕組みがあります。  これは、児童等に対する指導が不適切であると認定された教諭等に対し、その能力、適性等に応じて、当該指導の改善を図るために必要な事項に関する研修をいいます(教育公務員特例法25条1項)。  指導改善研修の期間は、原則 …