新着記事

  • 社会保険労務士の方を対象とした能力担保研修講師を経験してⅡ
    on 2021年12月4日

    昨年に引き続き、今年度も社会保険労務士の方を対象とした能力担保研修講師を務めました。 これは社会保険労務士の方が、特定社会保険労務士になるための研修です。 特定社会保険労務士は通常の社会保険労務士業務に加え、紛争解決手続代理業務を行うことができます(社会保険労務士法2条2項、同法2条1項1号の4ないし6)。 特定社会保険労務士になるためには、紛争解決手続代理業務を行うのに必要な学識及び実務能力に関する研修を修了した後、試験に合格する必要があります(社会保険労務士法13条の3第1項)。試験に合格して紛争解決手続代理業務の付記の申請し、社会保険労務士登録に紛争解決手続代理業務の付記をされると、特定…

  • 退職者を引きとどめる言動「逃げるのか」に違法性が認められた例
    on 2021年12月3日

    1.退職妨害 労働者の退職を妨げようとする時の使用者の言動は、大体において似通っています。その中の一つに、「逃げるのか。」というものがあります。 この「逃げるのか。」という言葉は、労働環境・勤務条件の過酷さから目を逸らし、退職の理由を個人の意思の弱さと結びつけ、労働者を非難する意味合いで用いられることが多くみられます。 労働者の矜持や罪悪感に訴えかけて退職を妨害することに関しては、常々問題だと思っていたところ、近時公刊された判例集に、「逃げるのか。」という言動を違法だと判示した裁判例が掲載されていました。昨日もご紹介した、長崎地判令3.8.25労働判例1251-5 長崎県ほか(非常勤職員)事件…

  • 合理的理由なく業務習熟を妨げない義務-メモの禁止に違法性が認められた例
    on 2021年12月2日

    1.メモの禁止 近時、報道等で「メモをとらない新人」についての悩みが取り上げられるようになっています。メモは仕事を覚え、ミスを防ぐうえで役に立ちます。それなのに新人がメモを取ろうとしないというのが、大体のパターンです。 それでは、逆に、新人のメモを禁止することはどうでしょうか? 通常、新人のメモを禁止することには何の合理性もありません。しかし、時折、上長からメモを禁止されたという相談を労働者の方から受けることがあります。このような合理性に乏しいマイルールを押し付けられることは、ハラスメントにあたるのではないでしょうか? この問題を考えるにあたり参考になる裁判例が、近時公刊された判例集に掲載され…

  • 任期付き公務員の再任用拒否に期待権侵害が認められた例
    on 2021年12月1日

    1.公務員と雇止め 労働契約法19条は、 「当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められる」場合、又は、 「当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められる」場合、 契約の更新を拒絶するためには、客観的合理的理由・社会通念上の相当…

  • 文言自体は侮辱的ではなくても、嫌がっていることを言い続ければハラスメント・不法行為になるとされた例
    on 2021年11月30日

    1.パワーハラスメント パワーハラスメントの類型の一つに、 「精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言) 」 があります。 令和2年1月15日 厚生労働省告示第5号「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」によると、 「人格を否定するような言動を行うこと。相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な言動を行うことを含む。」 「業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行うこと」 「他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責を繰り返し行うこと」 「相手の能力を否定し、罵倒するような内容の電子メール等を当該…

  • 即戦力中途採用の場合でも、能力不足解雇にあたり指導改善の機会付与を要するとされた例
    on 2021年11月29日

    1.能力不足を理由とする解雇 労働契約法16条は、 「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」 と規定しています。 能力不足(勤務成績不良)を理由とする解雇について、どのような場合に客観的合理的理由・社会通念上の相当性が認められるのかに関しては、新規卒業者と即戦力中途採用者とを分けて考えるのが一般的です。 具体的に言うと、 「長期雇用システムの下の正規従業員については、一般的に、労働契約上、職務経験や知識の乏しい労働者を若年のうちに雇用し、多様な部署で教育しながら職務を果たさせることが前提とされるから、教育・指導…

  • 業務委託契約で働いているエステシャン等の労働者性
    on 2021年11月28日

    1.エステシャン等の労働者性 このブログでも何度か言及したことがありますが、私の所属している第二東京弁護士会では、厚生労働省からの委託を受けて、フリーランス・トラブル110番という相談事業を実施しています。 フリーランス・トラブル110番【厚生労働省委託事業・第二東京弁護士会運営】 この事業には私も関与していますが、ここには、エステシャン、ネイリスト、まつげエクステ店などの美容関係産業に従事している方からの相談が多数寄せられています。相談者の多くは業務委託契約を締結して仕事をしています。しかし、その契約の内容は、店側に有利で一方的なものが少なくありません。 こうした一方的な契約に困っている人に…

  • 就活セクハラ・入学セクハラへの対抗手段-同意していたという加害者の弁解を排斥するためには
    on 2021年11月27日

    1.就活セクハラ・入学セクハラ 厚生労働省告示第615号 平成18年10月11日 事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(最終改正:令和2年1月15日 厚生労働省告示第6号)は、 「職場におけるセクシュアルハラスメント」 を、 「職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されること」 と定義しています。 ここでいう 「労働者」 は、 「いわゆる正規雇用労働者のみならず、パートタイム労働者、契約社員等いわゆる非正規雇用労働者を含…

  • 期間途中で業務委託契約を解除された業務受託者は、残期間に得られたはずの報酬を請求できるのか?
    on 2021年11月26日

    1.期間途中での業務委託契約の解除 業務委託契約に基づいて働いているフリーランスの方からよく寄せられる相談類型の一つに、取引先から契約を切られたというものがあります。 業務委託契約の多くは、準委任契約という契約類型に該当します(民法656条)。 準委任契約は、各当事者がいつでも契約を解除することができるのが原則です(民法651条1項)。ただし、相手方に不利な時期に委任を解除したときは、やむを得ない事由があった場合を除き、損害の賠償をしなければならないとされています(民法651条2項)。 それでは、有期業務委託契約を途中解約された業務受託者は、「不利な時期」に(準)委任契約を解除されたとして、残…

  • 労働契約上の権利を有する地位にあることを主張するにあたり、雇用契約か委任契約かという争点設定はとらないこと
    on 2021年11月25日

    1.雇用契約と委任契約 雇用契約は、 「当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる」 契約です(民法623条)。 他方、委任契約は、 「当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる」 契約です(民法643条)。 雇用契約は、労働契約として、労働基準法、労働契約法などの労働法の適用を受けます。他方、委任契約は、「原則として」労働法の適用を受けません。そのため、裁判実務上、時として、ある契約が、雇用契約なのか、委任契約なのかが争われることがあります。 …