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  • 2021年5月8日市民感覚を理由に、特定の属性を有する職員を、市民との接触の少ない職場に配置することは許されるか?
    1.差別と区別  憲法14条1項は、 「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」 と規定しています。  この条文に基づいて、人は国から差別されないことを保障されています。  しかし、差別の禁止は、一切合切の区別を排除するわけではありません。  それでは、許容されない差別と、許される区別との境目は、どこにあ …
  • 2021年5月7日ハラスメントが与える心理的負荷は、なかなか強にはならない
    1.心理的負荷による精神障害の認定基準  精神障害の発症が労働災害(労災)に該当するのかを判断する基準として、平成23年12月26日 基発1226第1号「心理的負荷による精神障害の認定基準について(最終改正:令和2年8月21日 基発0821第4号)があります(認定基準)。 精神障害の労災補償について|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/000661301.pd …
  • 2021年5月6日運転代行業に従事するドライバーの労働者性
    1.労働者か個人事業主かが微妙な事案  第二東京弁護士会では、フリーランス・トラブル110番という事業を行い、フリーランスの方からの法律相談に応じています。 フリーランス・トラブル110番  法律相談は多数の弁護士が持ち回りで担当しています。私も相談担当弁護士の一人として、フリーランスの方からの法律相談を受けています。  相談担当をしていて思うのが、個人事業主として業務委託の形式で働いていても、そ …
  • 2021年5月5日いじめを隠蔽し、校長の命令に反して柔道部加害生徒を近畿大会に出場させた教師に対する懲戒処分の量定
    1.最高裁と高裁で判断が分かれた事案  実務上、最高裁と高裁で判断が分かれることは、殆どありません。  司法統計の一部である「民事・行政編 令和元年度 55  上告審訴訟既済事件数  事件の種類及び終局区分別  最高裁判所」という資料によると、令和元年度には2021件の上告が提起されていますが、破棄判決が言い渡されたのは0件です。上告受理の申立は2498件なされていますが、破棄判決は僅か34件です …
  • 2021年5月4日死亡事案は直後の供述の保全が大事(死亡直後は感謝していても、人は手のひらを返す)
    1.当事者が死亡している事件処理の困難性  仕事をしている中で精神的負荷がかかり、メンタルを病んで自殺してしまう人がいます。こうした事件で勤務先の責任を問うことは、必ずしも容易ではありません。  最大の理由は、事情を最も良く知っている本人から事情を聴けないことにあります。本人が職場でどのような状況にあったのかは、遺族でも良く分からないのが普通です。  こうした事案で勤務先の安全配慮義務違反の有無を …
  • 2021年5月3日インセンティブを加算しなければ最低賃金を上回らない賃金体系の適法性
    1.最低賃金  最低賃金法4条1項は、 「使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。」 と規定しています。  この規定との関係で、基本給のみでは最低賃金を下回るものの、インセンティブを考慮すれば最低賃金を上回るという賃金体系を設けることは許されるのでしょうか?  インセンティブ型の賃金の多くは出来高に応じて支払われます。つまり、出来高が低ければ …
  • 2021年5月2日固定残業代-調整手当では何のことか分からない
    1.さまざまな名称の固定残業代  賃金額を多く見せかけようとするためか、固定残業代に、一見そうとは分からない名称が付けられていることがあります。このように名称から趣旨を読み取りにくい手当が残業代として扱われている場合、後々、労使間でトラブルになる例が、後を絶ちません。近時公刊された判例集に掲載されていた、大阪地判令2.11.27労働判例ジャーナル109-34 KAZ事件も、そうした事例の一つです。 …
  • 2021年5月1日雇止め-指導・注意されていなかった事実はそれほど恐れるに足りない
    1.問題視されていなかった事実の蒸し返し  労働者側に立って解雇や雇止めの効力を争うと、大抵の場合、使用者側から延々と「過去にこういう問題があった」と数多くの事実を列挙されます。  しかし、解雇・雇止めの意思決定に本質的な影響を与えている事実は、ある程度絞られてくるのが普通です。数多くの「問題行為」が列挙されていても、その殆どは注意・指導されることなく、放置・黙認されていたということが少なくありま …
  • 2021年4月30日「更新する場合があり得る」契約の更新に向けた期待に合理的な理由がある場合
    1.雇止めに関するルール(二段階審査)  雇止めの可否がテーマになる事案で、労働局の斡旋手続を運営したり、法律相談を受けたりしていると、客観的合理的理由・社会通念上の相当性が認められない限り雇止めは認められないと思い込んでいる人を、相当数見かけます。  しかし、これは誤解です。雇止めの可否は、 労働契約法19条1項の各号への該当性(期限の定めのない契約と同視できる状態になっている場合・契約の更新に …
  • 2021年4月29日内部通報や苦情相談を虚偽通報扱いされる問題について
    1.内部通報や苦情相談に対する報復  公益通報をしたことや、ハラスメントに関する苦情相談をしたことを理由に、解雇その他不利益な取扱いをすることは、法律で禁止されています(公益通報者保護法3条、5条、男女雇用機会均等法11条2項、11条の3第2項、労働施策総合推進法30条の2第2項等参照)。  しかし、法律相談をしていると、法の趣旨が適切に理解されていないのではないかと思わざるを得ない事案を目にする …