新着記事

  • 上司から伝えられた禁止行為の意味を目的から逆算して拡大することが否定された例
    on 2026年3月13日

    1.服務規律違反を理由とする懲戒処分 大抵の就業規則には、服務規律が規定されています。 例えば、厚生労働省が作成、公表しているモデル就業規則には、 「労働者は、職務上の責任を自覚し、誠実に職務を遂行するとともに、会社の指示命令に従い、職務能率の向上及び職場秩序の維持に努めなければならない。」 という規定が設けられています。 この服務規律は懲戒事由と結び付けられているのが通例です。 モデル就業規則だと、懲戒事由として、 「正当な理由なく、しばしば業務上の指示・命令に従わなかったとき。」 という条項が定められています。 この「指示命令」「業務上の指示・命令」を通じて、会社はかなり広範かつ自由に懲戒…

  • 産後休暇中の解雇を避けるためだけに解雇通知を打ち直したことが、単に理由のない解雇を通知したという程度を超えて不適切なものとされた例
    on 2026年3月12日

    1.産前産後休暇中の解雇 労働基準法19条1項本文は、 「使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。」 と規定しています。 労働基準法65条1項2項は、 「使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。」 「② 使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がない…

  • 取締役間で共有されてたにすぎない賃金テーブル(職能給テーブル)に基づく賃金減額が否定された例
    on 2026年3月11日

    1.就業規則や賃金規程との一体性が怪しい文書 就業規則や賃金規程を運用して行くにあたっては、内部的な運用基準が作られることがあります。この内部的な運用基準の中には、一般労働者には公開されておらず、経営陣のみが把握しているものもあります。 しかし、労働基準法106条1項が、 「使用者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨、就業規則、・・・を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない」 と規定していたり、労働契約法7条本文が、 「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理…

  • 取引先に対して従業員を懲戒解雇したと告げたことが不法行為に該当するとされた例
    on 2026年3月10日

    1.懲戒解雇されたことは秘密として守られるか? 懲戒解雇された方が気に掛けることの一つに、 「懲戒解雇されたことが、他の人に知られないか?」 というものがあります。 懲戒解雇されたからといって、必ずしも悪いことをしたとは限りません。理由のない懲戒解雇は少なくありませんが、裁判所で争わなければ懲戒解雇の効力が否定されることはありません。懲戒解雇されても訴訟提起する人ばかりではないため、実体的には無効である可能性が高いにもかかわらず、有効であるかのような外観をしたまま放置されている懲戒解雇は幾らでもあります。 しかし、不名誉な響きを持った言葉であることには変わりません。リファレンスチェックが行われ…

  • 公務員への降任勧奨-欠勤が続いた場合には分限免職になってもかまわない旨の表明をさせる職務命令の適法性
    on 2026年3月9日

    1.退職勧奨/自主降任勧奨 退職勧奨の許容性については、一般に次のように理解されています。 「退職勧奨は,基本的に労働者の自由な意思を尊重する態様で行われる必要があり,この点が守られている限り,使用者はこれを自由に行うことができる。」 (中略) 「これに対し,使用者が労働者に対し執拗に辞職を求めるなど,労働者の自由な意思の形成を妨げ,その名誉感情など人格的利益を侵害する態様で退職勧奨が行われた場合には,労働者は使用者に対し不法行為(民法709条)として損害賠償を請求することができる。例えば,労働者が退職しない旨を表明しているにもかかわらず長時間・長期間にわたり勧奨を繰り返した事案,暴力,無意味…

  • 公務員への降任勧奨-自主降任はしたくないという明示の意向に合致していないにもかかわらず、自主降任の勧奨が適法とされた例
    on 2026年3月8日

    1.退職勧奨/自主降任勧奨 退職勧奨の許容性については、一般に次のように理解されています。 「退職勧奨は,基本的に労働者の自由な意思を尊重する態様で行われる必要があり,この点が守られている限り,使用者はこれを自由に行うことができる。」 (中略) 「これに対し,使用者が労働者に対し執拗に辞職を求めるなど,労働者の自由な意思の形成を妨げ,その名誉感情など人格的利益を侵害する態様で退職勧奨が行われた場合には,労働者は使用者に対し不法行為(民法709条)として損害賠償を請求することができる。例えば,労働者が退職しない旨を表明しているにもかかわらず長時間・長期間にわたり勧奨を繰り返した事案,暴力,無意味…

  • 労働基準法における事業・事業場の数え方
    on 2026年3月7日

    1.事業場を単位とする規制 労働基準法は、基本的に「事業」や「事業場」を単位とした規制をしています。 例えば、時間外労働や休日労働を可能にするための要件として、労働基準法36条1項は、 「使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間・・・又は前条の休日・・・に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間…

  • 導入経緯や労働者への説明内容が不明であるとして、約17年前の職能給の固定残業代への振替の効力が否定された例
    on 2026年3月6日

    1.古い事件は争いにくいのが原則だが・・・ 過去にも言及したことがありますが、古い事件を掘り起こすのは基本的には困難です。かなり問題のある解雇であったとしても、何年も前の解雇の効力を問題にできるかといえば、問題にできないことの方が圧倒的に多いです。また、消滅時効期間の満了前であったとしても、時効間際にハラスメントの存在を立証できるかといえば、楽観的な見通しを語れないことが殆どです。 ただ、賃金減額・賃金制度の不利益変更の場合だけは別で、相当以前のものであったとしても、問題に出来ることが少なくありません。このブログでも、約18年前に行われた賃金減額の効力を争うことができた裁判例を紹介したことがあ…

  • 委任報酬請求が労働契約の不履行における違約金として違法とされた例
    on 2026年3月5日

    1.労働契約の不履行についての違約金 労働基準法16条は、 「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」 と規定しています。いわゆる労働契約の不履行についての違約金の禁止を定めたものです。この条項があるため「一定期間内に会社を辞めたら金〇万円を支払う」といった類の約定は無効とされます。 しかし、この規制を回避するため、幾つかのスキームが開発されています。 最も典型的なのが、消費貸借契約を利用するものです。 例えば、「一定期間内に辞めたら留学費用を返してもらう」という目的を達するため、 ① 会社が労働者に対して(留学費用に相当する)金銭を貸し付…

  • 逃亡防止のため外国人労働者からパスポートを預かって返さないことが違法とされた例
    on 2026年3月4日

    1.外国人労働者からパスポートを預かる問題 使用者が外国人労働者からパスポート(旅券)を預かるという問題があります。 その目的は逃亡の防止にあります。 冗談のように聞こえるかも知れませんが、これは割とメジャーな問題で、法的な規制の対象となっています。 例えば、技能実習法(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律)48条は、 「技能実習を行わせる者若しくは実習監理者又はこれらの役員若しくは職員・・・は、技能実習生の旅券・・・又は在留カード・・・を保管してはならない。」 「技能実習関係者は、技能実習生の外出その他の私生活の自由を不当に制限してはならない。」 と規定しています。 …